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路傍の石 感想

良いものを少し

と言ったのは山本有三である。

 

小説家の顔以外にも参議院議員

劇作家などを務め、教科書改革にも携わった文豪の一人である。

 

私が今回読んだのは

幾度も映画化された未完作『路傍の石

簡単に説明すると、『おしん』の少年版と言っても良い。吾一という少年が御奉公に出る物語だ。この小説を読んでいると、今はもう当たり前になってしまった進学や就職、仕事をするということに関して、非常に有り難みを感じさせてくれる作品となっている。

 

そして未完(作者が筆を折る形で第一部のみで終了している。その背景として戦争が始まった世の中で出版に対する圧力が強まった為というのが主な理由として挙げられる)

 

ある程度年齢の行った人は学校の教科書で読んだ事があるという人もいるかもしれない。

 

これこそ時代を克明に表した、小説の本来の目的を果たすものであって、その時でしか書けないものであり、故に未完である事が惜しくてならない。

 

路傍の石の続編を誰か書いて欲しい

という声が上がったとしても、もうその役割を果たせる人というのはいない。

 

現代にはもう文豪と呼べる程の物語を書く人ががいないし(無論私もだ)、後世にも残らない異世界転生(あんなものばかり量産して何になるという考えである。あれは教養というより只の脳みそのこねくり回し、現実逃避としか呼べない)や軽い読み物ばかりの時代で、あの時代の空気感を出せる人はいない。

 

あの日露戦争開始前の時代の空気を知っている人でなくては書けない。

 

仮にいま再版したとしても、時代が合わない。

奉公などないし、中学に行けず小卒で働くなんて事もなければ、当時『小僧』と呼ばれ、タダ飯同然で働かされる事例も無い。

 

小説とは時代を切り取ったものである

と誰かが言っていたが

現代でもそんなものが増えて欲しいと思う。

 

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